続・インドネシアお役人の力
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舞台はまたインドネシアです。
わたしがインドネシアで仕事の合間に余暇で楽しむことと言えば、山猫と遊び、
蝶を採取すること。それ以外には、友人の経営するカラオケ屋で過ごすことくらいでした。
(インドネシアでカラオケ屋というのは、日本で言うスナックやもっと男性の
お相手をする女性がいるお店のことを指すことが多いのですが
ここはそうではなく「健全な」お店です)
大体、週に1〜2回は通っていました。
元はといえば、私が当時定宿にしていたホテルの隣に友人(インドネシア人)が日本料理屋を作るという計画から始まったことです。
ホテルの近くに気晴らしできる所があればと思っていた私は、「ついでにカラオケも作ったら?」と言ったところ、「あんたがそれなりの援助をしてくれたら考えてもいいよ。」と。
結局1枚1万円程度の業務用レーザーカラオケディスク(日本・フランス・イタリア・スペイン・英語の歌)を約120枚進呈することで交渉成立。ジョグジャカルタで一番日本語の歌が揃っているカラオケができました。名前は「カラオケ・ヤシノキ」。
友人には無理を言って、売春クラブのような個室レイアウトにはせず(当時ジョグジャカルタの殆んどのカラオケは売春クラブもどきの個室レイアウトで、好みの女性を選んで入室するシステムでした。)、地元の人たちが家族連れで来れるような雰囲気と料金にしてもらいました。彼も当初からカラオケで儲ける気は無く、料金は格安。
特に私には、「日本料理に近いもの」を食べてカラオケで3時間ほど歌って300〜350円という値段と滞在するホテルのすぐ隣という便利さもあって、日々異国の地で職人指導をするわたしの疲れを癒してくれるものになっていました。
日本食レストランとカラオケがオープンして1年余り経った頃、いつものようにカラオケに食事を持って来させて地元の人達が歌うのを聴いていると、突然隣のテーブルから見慣れないインドネシア人の中年男がやって来て私に断りもせず向かいの席に座りました。
脂ぎった顔、抜け目の無さそうな蛇のような目、余りに無礼で高圧的な態度に腹が立った私は男を睨みつけて、「私は一人で食事したいのです。 他にも席が空いているので、そちらへ移ってくれませんか?」と言うと、男は「お前は日本人か? 見たところ観光客じゃないな。 このカラオケの従業員とも親しそうだし、ジョグジャで何をしているんだ? 俺にこの席から立ち去れとは威勢がいいな。」と顔を更に脂ぎらせて絡んできました。
タジオ : 確かに私は日本人です。観光客ではありません。日本にも貴方のような酒癖の悪い人が結構居ますが、こんなに早い時間からは出て来ないものですよ。ところで、私は仏教徒です。貴方はお酒を飲んで酔っていますね。まさかイスラム教徒じゃないでしょうね?
男 : ふ〜ん、生意気なことを言うじゃないか。俺は此処の入国管理事務所のボスなんだが、お前をこの国から追い出すのも、違法滞在で逮捕するのも思いのままだと言うことを忘れるなよ。
そう言い捨てて、男は仲間達のいるテーブルに戻りました。
そこへカラオケの女性スタッフが私のテーブルに来て、お茶と一緒に歌のリクエストカードの束を置いていきました。手に取って見ると、曲名記入欄に
「彼は本物、気を付けて。」
と何処かで聞いたことのある曲名と、それらしいレーザーディスク番号が書いてありました。
奴のいうことが本当だとしても、ちゃんとビジネスビザも取ってきてるし、期限切れまでにはまだ充分ある、と考えてこのことは忘れることにしました。
それから2週間経ったある朝、ホテルの部屋の電話が鳴りました。

